転職エージェント完全比較|現役エージェントが教える「エージェントを利用すべき人の特徴」と「おすすめ組み合わせ戦略」
転職を決意したとき、まず立ちはだかる壁は「そもそも転職活動とはどのように進んでいくのか」「最初は何から始めればよいのか」という疑問である。これは多くの方が抱える自然な不安だと感じる。
転職活動には、人それぞれに適した進め方が存在する。実際、転職エージェントを活用して満足した人もいれば、逆に利用せずにうまくいった人もいる。そして同じ「エージェントを使ってよかった」と答える人の中でも、どのエージェントが合うかは個人によって分かれるのが実情である。ある人には相性が良かった会社でも、別の人には合わない場合があるのだ。
これはある意味で当然のことであり、同時に事前にある程度知っておくことで対策できる部分でもあると私は考えている。そこで今回は、転職を考え始めた際に押さえておきたい「転職活動の手段」と、数ある転職エージェントの中から自分に合ったサービスを選ぶための視点について、私なりに整理して紹介したい。ぜひ参考にしていただければ幸いである。
1、転職活動を始めるときに知っておくべき手段
転職を決意した際、あなたはまず何から始めるだろうか。早速エージェントに連絡を取るだろうか、それとも求人サイトで求人検索を始めるだろうか。どちらも立派な第一歩であるが、最初に行うべきは「自分に合った転職手法を理解すること」であると考える。
理由はシンプルで、手法ごとに強みと弱みが存在するからである。
例えば、すでに進みたい職種や業界が明確に定まっている場合は、特化型のエージェントに相談することが最も効率的である。さらに、具体的に目指す企業が決まっており、選考対策も自力で対応できるのであれば、企業ホームページから直接応募する方法が適しているだろう。
一方で、「業界は絞れたが具体的な職種までは決まっていない」「自分に合う職種を相談したい」という段階であれば、大手総合型のエージェントを利用するのが望ましい。つまり、自分がどのようなサポートを必要としているのか、またどの程度サポートを受けたいのかを整理したうえで、利用すべき媒体を選ぶことが最初のステップになるのである。
以下では、代表的な手法とその特徴・メリット・デメリットを簡単にまとめた。自分に当てはまると感じる方法を取り入れていただければよいだろう。
① 企業ホームページ(HP応募)
・企業の採用ページから直接応募する手法。
- メリット:採用コストがかかっていないため、場合によってはエージェント経由より採用ハードルが低い。
- デメリット:狙った求人しか検索できず、そもそもHP上に求人が出ていないケースも多い。
② リファラル(社員紹介)
・友人や知人からの紹介を通じて応募する手法。
- メリット:社内の実態を知りやすく、入社後のギャップが少ない。
- デメリット:紹介者が必要であるため、自ら積極的に動ける手段ではない。
③ 求人サイト
・求人媒体に掲載された求人に応募する手法。
- メリット:数多くの求人を一度に閲覧でき、応募後は企業と直接やり取りできる。
- デメリット:エージェントのサポートがないため、対策や調整をすべて自分で行う必要がある。
④ ダイレクトリクルーティング
・企業からスカウトを受けて応募する手法。
- メリット:企業が求める人物像と一致している可能性が高く、選考が進みやすい。
- デメリット:企業からのアプローチ待ちであり、能動的に動けない。
⑤ 転職エージェント
・専任アドバイザーを通じて応募する手法。
- メリット:各企業に応じた選考情報や第三者視点での提案を受けられる。
- デメリット:エージェントや担当者の質にばらつきがあり、相性の合う合わないが出やすい。
このように手法ごとにメリット・デメリットが存在する。したがって、どの方法を選ぶべきかは一概に言えず、自分の状況に合わせて最適な手法を見極めることが重要である。もちろん、一つに絞る必要はなく、複数の手段を組み合わせて活用することも効果的である。
2、転職活動において転職エージェントを利用した方がいい人の特徴
数ある転職手法の中で、どのような人が転職エージェントを活用すべきだろうか。また、その際にどのエージェントを選ぶべきかは、多くの方が悩むポイントである。
まず、エージェントを利用した方が良い人の特徴は次の通りである。
- 具体的に受けたい企業が決まっていない場合(例:〇〇株式会社のように社名レベルで候補が定まっていないケース)
- 転職準備や対策に不安がある場合、あるいは書類選考や面接で落ちてしまうことが多い場合(志望動機や自己PRの壁打ちをしたいケース)
このような状況に当てはまる場合は、エージェントを活用することを強く勧めたい。
では、数あるエージェントの中からどこを利用すべきだろうか。ここでは代表的なエージェントの種類と、それぞれがどのような悩みを抱える人に向いているかを整理する。
① 総合型エージェントの利用を勧めたい人
- 利用を勧めたい人:業界・職種のどちらか、あるいはどちらも絞れていない人。
(例:「自分に合った求人がわからない」「営業職に挑戦したいが、どの業界がよいか相談したい」など) - 理由:大手総合型は幅広い業界・職種の求人を網羅的に保有しているため、多様な選択肢から提案を受けられる。
② 専門型エージェントの利用を勧めたい人
- 利用を勧めたい人:業界や職種は絞れているが、どの企業を受けるか迷っている人。
(例:「SaaS業界のカスタマーサクセスに挑戦したいが、どの企業が合うか相談したい」など) - 理由:専門型は特定の業界に特化して求人を集めており、企業とのつながりが深いことも多い。そのため、情報量は総合型と同等か、それ以上である場合も少なくない。
まとめると、転職エージェントを活用した方が良いのは、具体的に転職したい会社が社名レベルで決まっていない人、かつ 書類・面接対策などで壁打ちをしてほしい人 であると言える。
3、転職エージェントはどこがいい?主要エージェント会社の特徴比較
大枠として総合型・専門型のどちらを利用すべきかの判断ができたところで、次は代表的なエージェント会社ごとの特徴と強みについて整理していこう。
① 総合型エージェント
・株式会社リクルート(リクルートエージェント)
まず挙げるべきは業界最大手のリクルートである。テレビCMなどで目にする機会も多く、転職を考えたときに多くの人が最初に思い浮かべる存在だろう。
リクルートを利用する最大のメリットは「求人数」である。実際、業界2位のパーソルキャリアと比べても、取り扱い求人数は1.5〜2倍ほどの差があるとされる。
さらにデジタル活用にも力を入れており、膨大な求人から効率よくマッチングを行う点においても優れている。幅広い選択肢を確保しつつ効率的に転職活動を進めたい人にとって、有力な選択肢といえるだろう。
・パーソルキャリア株式会社(doda)
業界2位の規模を誇るのがパーソルキャリアであり、「doda」を運営している。リクルートに次ぐ求人数を持ち、幅広い求人から選択できる点で利用価値は高い。
特徴として挙げられるのは「人による支援」である。業界内では「リクルート=デジタル」「パーソル=人」と表現されることもあり、寄り添い型のサポートを強みとしている。転職活動は不安や迷いが生じやすいが、そうした場面で丁寧に支援してくれるエージェントの存在は心強いだろう。
② 専門型エージェント
・レバレジーズ株式会社
専門型エージェントの中でも特に存在感を増しているのがレバレジーズである。市場競争が激しいITエンジニア領域において、業界最大級の支援実績を誇っている点が大きな強みだ。
さらに、介護・看護領域や成長企業特化など、専門分野を絞ったサービス展開を行っているため、業界や職種がある程度定まっている人にとって有力な選択肢となる。
・株式会社ビズリーチ
「ハイクラス転職」といえば真っ先に名前が挙がるのがビズリーチである。特徴は、企業からのスカウトとエージェントからのスカウトという二つの機能を兼ね備えている点だ。
取り扱う求人はハイキャリア向けが中心であり、年収アップを狙いやすい。また、登録することで複数のエージェントとつながることができ、質の高いエージェントを比較できる点も強みである。キャリアの次のステージに進みたい人、年収を伸ばしたい人にとって有効なサービスといえるだろう。
4、おすすめ転職エージェントのまとめと利用の組み合わせ戦略
ここまで代表的な総合型・専門型エージェントの特徴を見てきたが、最終的に「どのエージェントを使えばよいのか」という問いに対しては、状況に応じて選び分け、場合によっては組み合わせて利用するのがベストであると考える。
【おすすめエージェントまとめ】
- リクルートエージェント
→ 求人数の圧倒的な多さを武器に、幅広い選択肢を確保したい人に最適。 - doda(パーソルキャリア)
→ 不安を抱えやすい転職活動において、寄り添い型の丁寧なサポートを受けたい人におすすめ。 - レバレジーズ
→ ITエンジニア・看護・介護といった専門領域でキャリアを進めたい人に有効。業界特化の深い情報を得られる点が強み。 - ビズリーチ
→ ハイクラス転職・年収アップを目指す人に適しており、スカウト機能を通じて複数のエージェントを比較できるのも魅力。
【利用の組み合わせ戦略】
- 総合型+専門型の併用
- 幅広く求人を確認したいときはリクルートやdodaを利用し、並行して自分の志向に合う専門型を組み合わせる。
- 例:営業職に挑戦 → リクルートで幅広く求人収集 + SaaS業界特化の専門エージェントで情報収集。
- 総合型×2社を使い分ける
- リクルートとdodaを同時に利用することで、「求人の網羅性」と「人による支援」の両方を確保できる。
- 実際には両社で扱う求人が重複することもあるが、担当者のスタイルや情報の出し方が異なるため、比較する価値は十分ある。
- ハイクラス志向ならビズリーチ+総合型
- 年収アップを狙う場合は、まずビズリーチでハイクラス求人に触れつつ、総合型エージェントで一般的な選択肢も押さえておくとバランスが良い。
まとめ
エージェント選びに「絶対の正解」は存在しない。むしろ、自分のキャリアの方向性や不安の度合いに応じて、複数のエージェントを組み合わせることが最も効果的である。
つまり、「総合型で全体像を押さえ、専門型で深掘りする」、あるいは 「寄り添い型とハイクラス型を併用する」 といった戦略的な利用が、転職成功の近道になるといえるだろう。
さいごに
転職活動は、最初の一歩をどう踏み出すかによって結果が大きく変わるものである。求人サイトや企業HPからの直接応募など、どの手段にもメリット・デメリットが存在するが、特に「具体的な会社が決まっていない」「選考対策に不安がある」という人にとって、転職エージェントは強い味方になるだろう。
また、エージェントと一口に言っても、その特徴は大きく異なる。リクルートのように求人数の多さを誇る会社もあれば、dodaのように寄り添い型の支援を得意とする会社、レバレジーズのように専門分野に特化している会社、さらにはビズリーチのようにハイクラス転職に強い会社もある。
大切なのは、「自分はどのようなサポートを必要としているか」「どのようなキャリアを描きたいか」を明確にし、その上で複数のエージェントを組み合わせて活用することである。総合型で幅広く選択肢を得つつ、専門型で深掘りする。あるいは、寄り添い型とハイクラス型を並行して利用する。そうした戦略的な活用こそが、納得感のある転職につながる。
転職は人生の大きな節目である。だからこそ、焦らず、しかし行動は早めに起こすことが重要だ。まずは気になるエージェントに2〜3社登録し、自分に合うサポートスタイルを比較してみてほしい。それが、理想のキャリアへと近づく第一歩となるはずである。